当院での特徴
- いびき・睡眠時無呼吸症の原因を耳鼻咽喉科的視点から判断します。
- 歯科との連携で、軽度のものはマウスピース治療を行います。
- CPAP治療では、お待たせしない通院治療ができます。
- いびきについて
- "いびきは、人が眠っている際に、鼻から吸った空気が肺の手前の気管まで通っていく際に起きます。鼻から気管まで空気の通り道の中で、何らかの原因で狭くなってしまっているところで生じる音がいびきになります。いびきには、2種類のいびきがあります。
・単純性いびき
単純性いびきは、身体的な原因による一時的ないびきのことです。鼻づまりや疲労、飲酒、風邪などが原因となります。単純性いびきの場合、これらを取り除けばいびきは解消します。
・睡眠時無呼吸症候群の可能性があるいびき
単純性いびきのような一時的なものではなく、睡眠に入ると常時起こるいびきで、他人に指摘されるほどの音です。この状態になると、睡眠時の無呼吸状態が疲労などを誘発し、さらに睡眠時無呼吸状態に拍車をかけてしまうため、早期に治療することが必要になります。 - 睡眠時無呼吸症候群とは?
- "睡眠時無呼吸症候群とはSleep Apnea Syndromeの略語です。睡眠中に、呼吸が止まりかけていたり(低呼吸)、止まってしまう状態(無呼吸)が何度も引き起こってしまう病気です。病気の基準は、「一晩(7時間)の睡眠中に10秒以上の無呼吸が30回以上、または、睡眠1時間あたりの無呼吸数や低呼吸数が5回以上おこる状態」と定義されます。呼吸が止まると、身体・脳を十分に休ませるだけの酸素が供給されなくなり、眠りが浅いと感じたり、疲労感を覚えることになります。
睡眠時無呼吸症候群では、具体的に以下のような症状があらわれます。
<睡眠時無呼吸症候群 症状チェックリスト>
【就寝中】
□いびきをかく
□いびきが止まり、大きな呼吸とともに再びいびきをかきはじめる
□呼吸が止まる
□呼吸が乱れる、息苦しさを感じる
□むせる
□何度も目が覚める(お手洗いに起きる)
□寝汗をかく
□寝相が悪い
【起床時】
□口の中がカラカラに渇いている
□ズキズキと頭痛がする
□熟睡した感覚が感じない
□毎朝すぐにすっきりと起き上がることができない
□身体がずっしりと思い感じ・倦怠感がする
【日中】
□強い眠気や疲労感(突然の場合もある)に襲われる
□集中力・記憶力の低下
□いつも疲労感がある - 睡眠時無呼吸症候群の検査
- 睡眠時無呼吸症症候群の検査方法は大きく2種類の方法があります。
まずは、ご自宅でも行える「簡易検査」で、睡眠中に実際どの程度低呼吸・無呼吸状態になっているのかを検査します。
「簡易検査」にて症状が重いと判断された場合は、「精密検査」が必要になります。「精密検査」は、入院しての検査となりますので、検査可能な病院を紹介させていただきます。
○簡易検査(アプノモニター)
この検査は、ご自宅にて、就寝中の睡眠の状態をチェックする方法です。
いびきや呼吸の状態、脈拍数、血中の酸素飽和度などを検査します。
これらの値をモニタリングするために、手首・手の指・鼻の下などにセンサーを装着します。それぞれ簡単に装着でき、いずれも痛みを伴うものでありません。
ただし、簡易検査では脳波・睡眠の深さなどのより詳細なデータを取ることはできません。
この検査では、AHIと呼ばれる数値(無呼吸低呼吸指数)がわかります。これは、睡眠中1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数をはかり、10秒以上の呼吸停止で「無呼吸」、10秒以上・換気量50%以上の低下で「低呼吸」と判断されます。
AHIの値と、重症度の度合いの基準は以下のようになります。
軽症 :AHI 5~15回/時間
中等症:AHI 15~30回/時間
重症 :AHI 30回以上/時間
○精密検査(入院によるPSG検査)
睡眠時無呼吸症候群のタイプや重症度を調べる精密検査で、入院して行います。睡眠中の呼吸状態や脳波を詳しく解析し、その後の治療方法を検討します。簡易検査よりも取り付けるセンサー類は多くなりますが、こちらも痛みを伴うものではありません。
当院では、精密検査を受けていただくことはできませんので、精密検査が必要な方には、精密検査を行える病院をご紹介します。
- 睡眠時無呼吸症候群の治療方法
- ○ダイエット
SAS(睡眠時無呼吸症候群)と診断された方のうち、肥満体質の方についてはまずはダイエットに取り組んでいただきます。肥満体質の方は、お腹やお尻だけでなく、上気道(鼻からのどまでの空気の通り道)周辺にも脂肪がついているため、その分だけ空気の通るスペースを塞いでいることが多いのです。また、アルコールを飲まれる方についても、就寝前には控えていただくことをお勧めしています。
しかし、ダイエットは一朝一夕で行えるものではありません。そのため、目標が達成できるまでは、下記のいずれかの治療法を選択してゆくことになります。- ○手術による治療
睡眠時無呼吸症候群を引き起こしてしまう原因の一つに、扁桃およびアデノイドの肥大があります。
特にお子さんの場合は、身体の免疫機能が未発達なので、扁桃やアデノイドが肥大しやすい傾向にあります。それらが原因の場合、扁桃の摘出、アデノイドの切除を行います。
成人の方の場合は、扁桃を摘出し、その周りの粘膜を少し開き、のどの入口部分が広がるように手術を行います。
これらの手術は、病院での入院手術が必要になります。- ○保存的治療
手術を行わず、今ある身体の状態・機能を改善、向上させるのが保存的治療です。
睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病と強いつながりがあります。睡眠時無呼吸症候群の患者には、肥満の方も少なくありません。
軽症な方は気道を広げることで症状が改善する場合がありますので、マウスピースの使用をお勧めすることもあります。
マウスピースの使用だけで症状が改善しない患者様の場合には、CPAP(シーパップ)を用いて治療していきます。
- ○手術による治療
- CPAP(シーパップ)について
- CPAPは、”Continuous Positive Airway Presssure”(=経鼻的持続陽圧呼吸療法)といい、寝ている時に鼻から空気を呼吸に合わせて送り込む機械のことです。
CPAPは、中程度以上の睡眠時無呼吸症候群を引き起こしている方への、標準的治療法として広く用いられています。
健康な人の場合であれば、息を吸うと横隔膜が収縮して、空気が鼻からのどを通り、気管から肺に流れていきます。睡眠時無呼吸の患者様の場合は、この息を吸うタイミングで、空気と一緒にのどの外壁が中へと引っ張られてしまい、軌道が狭くなります。これが完全に塞がるような状態になると、無呼吸となります。
CPAPは気道が狭くなってしまわないように、常にのどに風を送り、空気が通るスペースを作ります。
CPAPを睡眠中に装用してもらうことで患者様は、いびきが改善するケース、睡眠の質が高くなるケースが多くあります。CPAPを使用することで心筋梗塞や脳卒中などの心臓や血管に関する病気を引き起こすリスクが抑えらえたというような研究結果もあります。
- 治療の流れ
- 睡眠時無呼吸症候群の治療は以下のような流れで行います。
○初診時
アンケートにて、睡眠状態を確認します。
診察でファイバースコープ(内視鏡)でのどの奥に息がつまる原因がないかを調べます。
アレルギー性鼻炎、鼻茸、扁桃肥大など鼻閉やのどのつまりの原因なるものがあれば、こちらの治療をします。
○簡易検査
ご自宅で一晩機械を装着して検査(スクリーニング検査)を行います。
○精密検査
簡易検査で睡眠時無呼吸症候群かどうかの診断がつかない場合は、病院での一泊入院での検査が必要になります。
〇治療
検査の結果、睡眠時無呼吸症候群という診断になった場合は治療を開始します。治療には、保存的(手術をしない)治療と手術があります。
●保存的治療
症状が軽い方の場合、必要に応じてマウスピースの使用を、中程度以上の方はCPAPにて治療を行います。また、睡眠時無呼吸症候群の原因として肥満や生活習慣病がある場合は、その治療も行っていきます。
●手術
手術が必要と判断さるときには、手術可能な病院をご紹介します。
- Q&A
- Q1 睡眠時無呼吸症候群の治療において日常生活で気をつけることはありますか?
A1 治療方法によって細かな注意点は異なりますが、まずは、
・適正体重を維持すること
・睡眠薬の服用は医師とよく相談すること
・酒は飲みすぎない、特に習慣的な寝酒は控えること
を意識してください。睡眠時無呼吸症候群は生活習慣病と密接な関連があります。
睡眠時無呼吸症候群の改善には、生活習慣病の予防が重要であり、生活習慣病の予防が、睡眠時無呼吸症候群の改善につながります。
Q2 検査、治療にはどれくらいの費用がかかりますか?
A2 ご自宅で行っていただく簡易検査の場合は、検査費用は3000円程度(3割負担の場合)となります。治療はC-PAPによる治療の場合は、毎月5000円程度(3割負担の場合)が治療費として必要となります。歯科医院でのマウスピース治療は自費での治療となりますので歯科医院によって費用は変動しますが、おおよそ3~5万円程度です。
Q3 自分がいびきをかいているのか気になります。何か簡単に知る方法はありませんか?
A3 毎朝、起床した際にのどの痛みや口の渇きを感じますか?いびきがひどくなると、「口呼吸」になりやすくなり、のどの痛みや口の渇きを感じるようになります。
また、最近は睡眠やいびきの状態を記録するアプリなども開発されていますので、そのようなものを使うのも有効な手段です。